華やかな水上での戦いが魅力の競艇。選手たちのダイナミックな走りは多くのファンを熱狂させますが、その裏側には賛否両論を呼ぶ選手たちの人間模様があります。なぜ一部の選手が「嫌われ者」と言われるのか、その理由や背景を徹底的に分析し、実名を挙げて永久追放となった元選手についても真相に迫ります。
嫌われ者と呼ばれる選手たちの特徴
競艇選手は、約1,600人しかいないエリート集団です。その中で頂点を目指す競争は熾烈であり、それぞれの選手が独自のスタイルや哲学を持っています。しかし、それが時にファンや他の競艇選手から「嫌われ者」というレッテルを貼られる原因となることがあります。
強引なレーススタイルで賛否が分かれる選手たち
最も多くの批判が集まるのが、レース中の行動です。強引なイン奪取や、他艇との接触を恐れない走り方は、見応えがある反面、事故リスクが高いと指摘されます。SNSや掲示板などでは「レース壊し屋」「一緒に走りたくない選手」として挙げられることも少なくありません。
松井繁選手:強すぎるがゆえの賛否両論
一部のファンの間では、松井繁選手がかつて「強すぎるがゆえにマークが厳しく、無理にインを死守する走りが危険だ」と批判されたこともあります。「横の動き」と呼ばれる、他の艇の航路を強引にブロックするような走りは、時に接触事故を誘発するリスクをはらんでいました。しかし、その強引な走りが多くのSG制覇という圧倒的な実績につながっていることから、競艇選手として嫌われ者というよりは恐れられている存在に近いと言えるでしょう。その結果、彼の強さには多くの敬意が払われており、賛否両論はあれど、その存在感は競艇界において絶対的なものです。
毒島誠選手:華のある危険な攻めとファンからの支持
また、毒島誠選手も、その切れ味鋭い「まくり」戦法で知られています。スタートから一気に加速し、他艇の外側から豪快に抜き去るそのスタイルは、ファンを熱狂させる魅力に満ちています。しかし、その攻めが時に危険と批判されることもあります。それでも、このスタイルこそが彼の持ち味であり、ファンからは「見ていて気持ちいい」「華がある」と熱烈に支持されています。彼の走りは、単なる勝利以上のエンターテイメント性を持っていると言えるでしょう。
攻める姿勢が事故点につながる選手たち
フライングや事故点を恐れずに攻めるスタイルも、ファンの間で賛否が分かれる要因です。ベテランの太田和美選手や、SG常連の石野貴之選手などは、勝つためにスタートで果敢に攻め、強引なターンでライバル艇をねじ伏せるレース運びをすることがあります。こうした攻めの姿勢は、ファンを熱くさせる一方で、事故につながった際には厳しい批判の対象となります。特にビッグレースでのフライングは、選手だけでなく、舟券を購入したファンにとっても大きな痛手となるため、批判の声はより強くなります。
傲慢・横柄と取られる態度が原因の選手たち
勝って当然というオーラをまとったり、インタビューなどでの態度がぶっきらぼうだと、「感じが悪い」「プロ意識が足りない」と批判を浴びやすくなります。ファンは選手の人間性にも注目しており、応援したくなるような親しみやすさを求める傾向があります。
池田浩二選手:ストイックさゆえの誤解
特に名前が挙がりやすいのが、池田浩二選手です。彼は実力も実績もトップクラスですが、ファン対応の場面で「笑顔が少ない」「コメントが冷たい」といった印象を持たれることもあります。しかし、これは彼のストイックな性格と、常にレースに集中するプロ意識の表れであるという見方もあります。その姿勢に共感し、「寡黙な職人」として支持するファンも多く、好みが分かれるタイプといえるでしょう。
峰竜太選手:奔放な言動で物議を醸すスター選手
峰竜太選手は、競艇界きってのスター選手であり、そのトーク力やキャラクター性で絶大な人気を誇ります。しかし、SNSでの奔放な発言が波紋を呼ぶこともありました。代表的なのは、2020年にX(旧Twitter)で発信した「峰なりの正義」というフレーズを含む投稿が物議を醸した件です。この発言がファンや一部選手から反感を買い、「自分勝手だ」「協調性がない」といった声が相次ぎました。しかし、その後もファンサービスやトークイベントに積極的に参加しており、現在では「愛されキャラ」として再評価されています。彼の言動は、良くも悪くも競艇界に大きな影響力を持っていることを示しています。
永久追放となった元選手『西川昌希』の八百長事件
ここからは、競艇選手として「嫌われ者」を超え、競艇界から永久追放処分を受けた選手を解説します。
八百長事件の経緯
競艇の歴史において、最も深刻な問題児としてその名を残しているのが、2020年に八百長問題で永久追放された元選手、西川昌希氏です。彼は現役時代、A1級に所属するトップレーサーであり、その不正行為は競艇界全体に大きな衝撃を与えました。
八百長の手口
この事件は、西川元選手が知人を通じて外部の人間と共謀し、レースの着順を不正に操作していたというものです。彼は、スタート直後に意図的に減速したり、他の選手に有利になるような進路をとったりすることで、自身が3着以内に入着しないように仕向けていました。その見返りとして、外部の関係者から多額の金銭を受け取っていたとされています。この事件の詳細は、彼が逮捕後に執筆した書籍「競艇と暴力団 八百長レーサー」でも赤裸々に告白されています。
処分と競艇界への影響
警察の捜査により八百長行為が明らかになると、西川元選手は競艇界から登録消除(=永久追放)処分となり、舟券に関与した関係者も逮捕されました。日本モーターボート競走会は、公営競技の公正さを守る上で極めて重要な処分として、今後の不正対策を強化することを表明しました。西川昌希元選手の事件は、ボートレース全体の信用を大きく損なわせ、ファンの間でも不安が広がりました。しかし、その一方で、多くの現役選手がSNSやメディアで「正々堂々と走っている」と発信し、健全な競艇文化を守る動きも強まっています。
まとめ
競艇選手が「嫌われ者」と呼ばれる理由には、危険な走りや不遜な態度、信頼を損なう不可解な行動など、さまざまな要因が関わっています。中でも西川昌希元選手による八百長事件は、競艇界に深い衝撃を与え、永久追放処分となりました。競艇の魅力と信頼性を守るためにも、公正なレースと選手の姿勢が今後ますます求められています。