ドナルド・トランプ前米大統領と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が注目を集めています。2025年に大統領に復帰したトランプ氏ですが、彼と統一教会の接点は一度や二度の偶然ではなく、複数回にわたる関与が確認されているようです。「単なる政治的なつながり」という見方もありますが、実際の関係性はどこまで深いのでしょうか。安倍元首相の暗殺事件をきっかけに日本でも注目された統一教会と米政界の関係について、その実態に迫ります。
トランプと統一教会の接点
トランプ氏は2021年9月、統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」が開催したオンラインイベント「Rally of Hope」にビデオメッセージを寄せました。メッセージの中でトランプ氏は、教団を率いた故・文鮮明氏の夫人である韓鶴子氏について「素晴らしい人物である韓鶴子博士に感謝したい」と述べ、約9分間にわたって熱心に語りかけています。同じイベントには安倍晋三元首相もビデオメッセージを送っており、トランプ氏は「文氏と安倍氏はどちらも多大な功績に値する。素晴らしい仕事をした」と両者を称賛しました。さらに翌年2022年8月の集会でも、トランプ氏は再びメッセージを送信。この時は共和党の重鎮であるマイク・ポンペオ前国務長官やニュート・ギングリッチ元下院議長も参加していました。
共和党と統一教会の半世紀にわたる関係
実はトランプ氏だけでなく、共和党と統一教会の関係は長年にわたって続いています。マイク・ペンス前副大統領やディック・チェイニー元副大統領も過去に統一教会関連の集会で講演を行っています。
ニクソン政権から続く影響力
元統一教会メンバーでカルト専門家のスティーヴン・ハッサン氏によれば、統一教会はニクソン政権時代からアメリカの政治に食い込む努力をしていたといいます。1974年には、ウォーターゲート事件の際にニクソン大統領への忠誠を示すため、統一教会メンバー約350人が議事堂の階段で72時間の祈りと断食を行ったとのことです。また統一教会が創設した「ワシントン・タイムズ」紙を通じて政治的影響力を行使してきた側面もあります。トランプ氏自身、このメディアについて「リスペクトしている」と公言しています。
なぜ共和党と統一教会は親和性があるのか
上智大学の前嶋和弘教授(米国現代政治)は「共和党にとって旧統一教会は敬虔なキリスト教の一派で、福音派とも親和性があり重なる」と分析します。特に反共産主義という共通の政治的スタンスが、両者の結びつきを強めたとのこと。加えて、「UPFにとって共和党は日本信者向けの広告塔で、共和党の元政権関係者にとってはお小遣いが手に入る団体なのでは」という見方もあります。日本では政治家だけでなく、統一教会 芸能人との関わりも時折話題になりますが、米国では特に政界との繋がりが強調されています。
トランプ政権復活時の影響は?
2025年1月に大統領に復帰したトランプ氏ですが、統一教会との関係が今後の日米関係に影響を与える可能性も指摘されています。特に日本政府が統一教会に対して解散命令を出したことについて、トランプ政権が宗教的自由の観点から懸念を示す可能性も。トランプ政権が宗教団体の活動や影響力を保護することを重視する姿勢を取れば、統一教会問題をめぐって日米の外交関係に微妙な影響を及ぼす可能性も考えられます。
まとめ
ドナルド・トランプ前大統領と統一教会の関係は、単なる一過性のものではなく、共和党という政党全体と統一教会の長年にわたる関係性の延長線上にあると考えられます。両者の結びつきの背景には、反共産主義という共通の価値観や、互いの政治的・宗教的影響力を活用したい思惑が存在するのではないでしょうか。今後、トランプ政権が日本の統一教会問題にどのようなスタンスを取るかは、日米関係にも影響を与える可能性があるので動向には注意が必要です。